アメリカの選挙 5
ここで無視できない事実は、一時的にせよテキサス州の大富豪ペローが日増しに世論の支持を高め、既成政党の候補者であるブッシュやクリントンを上回る人気を博したことです。
たとえば、5月末に民主党および共和党が共同で実施した世論調査でも、ペローの支持率が36%で、ブッシュの32%およびクリントンの24%を上回っていたのです。
こうしたペローに対する支持の台頭をアメリカのマスコミ等は、「ペロー現象」とか「ペロー症候群」の言葉を用いて説明していました。
それでは、ペローに対して急激に拡大した国民の支持をどのように理解すべきなのでしょうか。
それはひとつには、予備選挙の段階で顕著であったアメリカの経済的不況-景気後退の影響をもろに受けた中間層、とりわけ白人中間層の怒り、不満および疎外感をペローが、いわば反ワシントン、反エスタブリッシュメントの姿勢を鮮明にしてこれを糾合したことです。
他のひとつは、共和党のブッシュ大統領が白人中産階級の不満を十分に吸収できなかった、ないしは彼らを納得させる政策を提示できなかったことです。
また、挑戦者であるはずの民主党のクリントンが、女性問題や兵役拒否などのスキャンダルにより国民の信頼を獲得できなかったことも大きかったでしょう。
こうして見てくると、アメリカの国民の多くは、新たな政治的刺激を求めていたようにみえます。
つまり、冷戦終結という時代の節目の実感と、"アメリカン・ドリームの体現者"というアメリカ人好みの生涯とキャラクターがあいまって、それがマスコミ情報と共鳴しあい、いわゆるペロー現象なるものが生じたものと思われます。