ある男の情熱 4
この地域の井戸から、これまでより安価で、かつ迅速に燃料を産出できる、硫黄分を含まないスイート・ガス油田を掘りあてられると叫んでいます。
しかしスナイダーは黙って、目の前にちらつく札束ではなく、この結果から推測されるさらに大きな意味について考えていました。
数分間、彼はその灰色のサンプルをみつめていました。
頭の中の彼の思いは、マスターズやヒューストンでの同僚ラリー・マッケルと一緒に出かけたメキシコ湾の旅をかけめぐっていました。
あの時は「小湾や河口域、川床や三角州や砂州、潟湖、沼沢地、成長断層、そして岩塩ドーム」を調べて歩きました。
それらは、彼らの探していた古い地層が地底深く沈降してできる痕跡にほかならなかったのです。
マスターズは書いていました。
「我々は水中に飛込んだ、すると爪先が海進性被覆層の砂に触れた……」
あの灰色の岩石は何だったのでしょうか?
やがてスナイダーは指を鳴らしてその答を叫んでいます。
「そうだ、これは海浜岩だ!小石の浜だ。
すごくはっきり層ができてるじゃないか!上にいくにしたがって粗くなっている!」
幅の狭い河床というよりも幅の広い被覆のようなこの油床は、三角州平野、石炭湿原、海底堆積物の陸地への付着成長などを含んだ広大な沿岸性〈地層帯〉の中に組込まれ、蒸散によってエルムワース深層盆地を形成しているのにちがいありません。
・・・しかし当初は一本に100万ドルをかけても無駄に終った空井戸が多かったのです。